葉山の海を見下ろす坂の上の古民家を移築した一軒家。絹子の夫の四十九日の法要が行われた。東京のマンションで一緒に暮らそうと勧めるが、絹子は長年家族で暮らした思い出深いこの家から離れるつもりはない、と言う。
激しい雷雨に藤棚の花が散り、やがて雨蛙が現れだした頃、渚が家に帰ると、玄関に見慣れない男物の靴が……。絹子は相続税の問題で、訪ねてきた税理士からこの家を手放すことを求められていた。絹子の悲痛な表情に胸を痛める渚。
お盆に訪ねてきた夫の友人と、若い頃の思い出話に花を咲かせる絹子。渚は、このところ元気のなかった祖母が久しぶりに見せた笑顔に安堵する。だが、その直後、絹子は過労から倒れ込み、病院に担ぎ込まれる。
そして季節は秋から冬へ……絹子にも、渚にも、人生の新しい決断の時が迫っていた。

監督: 上田義彦
出演: 富司純子、沈 恩敬、田辺誠一、清水綋治